Web制作業者に求められるものとできることのギャップ

情報を発信するだけであれば、わざわざウェブサイトを立ち上げる必要がなくなりました。
メディアとツールも無料で揃っているからです。その昔はレンタルサーバーを借りて、レンタル掲示板を設置したりとユーザー同士でコミュニケーションをとるだけで、一手間も二手間も掛かりました。

2014年の現在ではHTML5とCSS3とJavaScriptが安定して使えるようになり、インタラクティブでパララックスなかっちょいいウェブサイト(横文字使ってるオレかっちょいい!?)が簡単に作られるようになり、WordPressの普及により高度なシステムが安価で構築できるようになりました。
めでたしめでたし。

と言いたい所なのですが、技術が進歩して無料でデキることが増えたのにも係わらず、いざネットで稼ごうとするとお金がいる、というのはなにかバランスが悪くないですか?

ネットでお金を使うのは簡単です。1万円くらい簡単に使うことができるし、その日に配達してくれるサービスだってあります。
では、ネットで今日これから1万円を稼ごうとするとどうでしょうか? 1万円は無理? ならば1/10の千円はどうでしょうか? 難しい? ならばおまけして1/100の百円はどうか? これもまた難しかったりします。

何が言いたいかというと、ネットが便利になったというのは、一般ユーザーにとって便利になったというよりは、資本力のある企業にとってユーザーからお金を徴収するのが便利になった、ということです。

消費者としてネットを使う分には、花道が用意されているのですが、では生産者側、販売者側に回ってみると分かることは、茨の道ばかりだということです。アプリのダウンロードは無料だけれど、この先を楽に進めるには課金してね、ということです。

つまり、お金を得るためにお金が必要だということに気が付きます。具体的に言うと広告です。課金ユーザーバンザイ!
これは、ウェブの進化ではなく退化です。
確かに色んなサービスやツールが無料で利用できるようになったのですが、それは言ってみれば底辺の破壊であって、底が抜けると無限に堕ちていきます。

例えば、ライバル店が無限に安くする戦略をとった場合、対抗策は常に0円の無料しかありません。リアルな市場では独占禁止法や不当廉売の禁止というものがあるのですが、ネットはフリーバトルなのでそういったロープ際の攻防はありません。
レベル1の冒険者が街から一歩外にでると、レベル999999999の猛者というよりゴッドに出くわします。勝てるわけがありません。
この便利さというのは、誰のためにあるかというと、一般ユーザーは自分達のためにあると信じて疑いませんが、実は将来的に自分たちのサービスにお金を払ってくれる人達への投資であり、ひいては自社のためなのです。あなたの味方でもないし敵でもないのです。
なので、今「この私」が儲けようとすると目の前に立ちはだかるのは「神の背中」だというわけです。

例えば検索エンジン最大手のGさんは検索サービスは無料ですが、広告は有料です。第三者が作ったコンテンツを無断で複製しデータベースに保存しているので、無料にしないと当然文句を言われます。無料の代わりに広告を有料で扱っています。広告を表示するインターフェースは自社のものなので、ここに広告を出すのはセーフだからです。

で、気が付くとGさんやYさんがいないとウェブが回らなくなってしまっています。インターネットは本来はフリーであるはずなのに、高度なロジックとトリックとレトリックによってインプリズンなディストピアとなっています。
最近では、ユーザーの動向を追跡しビッグデータで解析して広告を出してきます。ユーザーをトライ&エラーで反応を試しているのです。その情報は売り買いされてマーケティングとして利用されています。

▼フェイスブックの心理実験に大ブーイング ユーザーの心理を無断で操作・観察していたことが判明
http://toyokeizai.net/articles/-/41816

前置きはこれくらいにして、ではWeb制作業者に求められるものはなにか? というと、おそらくはネットで成果をあげることです。クライアントにとっての成果は色々とあるでしょうが、物販であればモノが売れることだろうし、サービスであればサービスを認知してもらい利用してもらうことだったりします。

要するにヒト・モノ・ジカンのいずれかをカネに変換したいわけです。というわけなのですが、いざこれをしようとすると、カネに変換するためにカネ(手数料)が必要であることが多々あります。(そんなバカな!ええい、連邦軍のモビルスーツは化け物か!)その手数料が高い高い! カンタンに利益を圧迫してくれます。
もちろん無料でもできるのですが、スーパーハードな道になることは間違いありません。

スーパーハードな道を知れば普通は諦めるか、プロに頼むことになります。
Web制作業者にウェブサイトを制作を頼む人は昔と違ってお遊びのペラサイトではなく、ガチでビジネスに繋げようとする人達でしょう。Web制作業者にしてみれば、少人数で神に戦いを挑む手伝いをするようなものとなります。
昔のようにFlash動画があって、社長のごあいさつがあって、作るだけでとりあえず良かった時代もありました。

しかし、それだけではビジネスとネットを結び付けたとは言えません。田んぼに看板を立てただけです。
Web制作業者に求められるものは、デザインに加えてウェブサイトをビジネスの拡大に繋げることです。デザインの良さがビジネスの拡大に繋がると信じられていた時代もありましたが、ユーザーが真に求めているのはデザインではなくサービスです。デザインを求めるのはデザイナーとこだわりのあるクライアントであって、ユーザーではありません。
「おっ店舗のデザインが良いから、この商品値上げしてもいいよ!」なんていうネットユーザーは稀でしょう。

ということはWeb制作業者に求められているのはウェブサイト構築というよりも、その中身はネットビジネスの構築ということになります。
デザイナーやプログラマーがネットビジネスの構築ができるのかというのは、甚だ疑問です。
例えば、家を建てる大工さんや設計をする設計士さん、そして配管を通す配管工、内装や外壁を担当する電気工事士や左官屋さんは家屋を完成させることはできますが、完成後には関知しません。

家屋ではなく店舗であれば、当然施工が終わった後にスタッフとして働くわけではありません。運営は自己責任です。
できることのギャップがあるわけです。
ネットビジネスを構築するということは、店舗を作るということとは異なり、店舗を運用していくことに相当するため、そもそもの要求が異なっています。

つまり、Web制作業者はウェブサイトという容れ物は作れるけれど、それを使ってビジネスを成功に導けるかは別問題だということです。試しに「完全成功報酬制でお願いできませんか? 取り分は半々で」とお願いすれば丁重にお断りされるでしょう。

なぜなら、Web制作業者にとっての仕事は、制作業務であり、それはウェブサイトが要件通りに完成すれば終わっているからです。まずそこで成果報酬を回収できなければやっていけないからです。
店舗を作ってくれた業者の人達に「請求書はうちが儲かってから下さい」と言っているようなものです。

これは何を意味するかというと、クライアントが求めているのはウェブサイト構築および、ネットビジネスの構築と成功までであるのに対して、Web制作業者ができることは「ウェブサイト構築」までだということです。
必ず予算というものがあるはずなので、決まった要件と予算内ではできることが限られています。

作っては壊し、壊しては作ってのトライ&エラーができるのが望ましいですが、利益を回収できるまで予算を注ぎ込み続けるクライアントは稀です。そもそもリアルビジネスで利益が出ていないからこそ、ネットに新たな活路を求める場合がほとんどでしょうから、このような考え方は非現実的です。

ならばSEOを手がけるウェブコンサルタントやウェブアナライザーはどうなのか? というと、これも結局はウェブサイト構築とは別途必要になる費用となります。これも試しに「完全成功報酬制でお願いできませんか? 取り分は半々で」と聞いてみてください。いい感じで喧嘩になります。

そんなに上手く行くなら完全成功報酬制でいいような気がするのですが、完全に成功するとは限らないので無理なのです。
その大きな理由としては検索エンジン最大手のGさんやYさんの存在です。
例えば、あるウェブページのタイトルを一文字変えただけで検索順位が大きく下がる可能性もあります。そのルールや仕組みは常に変動し、成功したとしてもいつまで続くか分からないし、失敗したとしても全てが悪いわけではないのです。

▼SEO目的でtitleタグを変えたら、予想外の検索トラフィックを失ってしまった!
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2014/07/11/17840

何が言いたいかというと、要因がコントロール出来ない場所にある以上、どんな施策も仮処置でしかない、ということです。
もっと分かりやすく言うと、GさんやYさんをコントロールできない以上、GさんやYさんの思う壺だということです。
GさんやYさんはワクチンでありウイルスなのです。

それを回避するためには、GさんやYさんにお金を払うことです。ちょっとだけ言うことを聞いてくれます。
ただし、お金を払ってまで言うことを聞いて欲しい人達はたくさんいるので、競争入札制となります。

ユーザー同士を競い合わせて、一番お金を払ってくれる人達の言うことを聞きましょう、というわけです。
当初100円だったものが200円…300円と面白いように高騰していくので、その賄賂(手数料)が利益率を圧迫したらゲームオーバーです。フリーバトルなので資本力のない個人は太刀打ちできません。

ということは、問屋やメーカーから仕入れをしている小売業は利益率が低いので分が悪いということです。
問屋やメーカーはできるだけ賄賂を低く抑えるためにネット書店最大手のAさんに出店したり、Yさんの無料ショッピングモールに出店したりしてしのぎを削るので、リアルで頑張っている小売業は見えない場所で顧客を失い続けます。
同じものが買えるなら安い方がいいからです。

・書店であれば地方の書店消失問題
・家電量販店であればショールーミング化
・飲食店であれば食べログ問題

あたりがニュースになっていましたね。

▼「反アマゾン法」無料配送を禁止する法案、フランスで可決
http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/26/anti-amazon-bill_n_5535807.html

▼ヤマダ電機の営業赤字転落で考える ショールーミングは「正しい」行動か?
http://diamond.jp/articles/-/44361

▼15年で8000店! 書店消失は「アマゾンのせい」なのか?
http://careerconnection.jp/biz/studycom/content_1014.html

最近ではAさんがドローンによる配送を実現化しようしていることが話題になっています。

▼Amazon、FAAにドローン配達のテスト許可を申請
http://jp.techcrunch.com/2014/07/11/20140710amazon-asks-faa-for-permission-to-test-its-delivery-drones/

これが実現すると物流は大きく変わります。
物流大手のSさん、Kさん、そして日本の〒さんも影響を受けることは必至でしょうね。

ネットを俯瞰するとゴッドだらけで勝ち目がないような気がしますが落ち着いて下さい。
なにもしなくてもあらゆる業種がネットからなんからの影響を受けて行きます。この10年で様々な業種が消滅することが予想されています。失業者が増え、それに伴い犯罪も多発します。富が再分配されない以上仕方がないことです。
行動を起こした方がなにもしないよりはマシです。先手を打つことで打開策が見出だせることもあります。
頑張っていきましょう。


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